高耶「勝手にひきずりこんで、勝手に悩んで泣いて、愛してるだの抱かれろだの、わけのわかんねーことほざいて、こんなイカれた真似までしやがって! 景虎じゃなくたって愛想尽かす、こんなふざけたやつ。中途半端なやさしさで、ひとの弱みにつけこんで……こんなに頼らせて、突き放す……! こんな卑怯な奴みたことない!」

高耶「ちょっとでも心配なんかしてたオレが馬鹿だった。わかってやりたいなんて、思ったのがまちがいだった。冗談じゃねぇよ。こんなやつの犠牲になんか、誰がなってやるかよ……! もう理解なんかしてやらねぇ。救ってなんて、誰がしてやるかよ!」

直江「……。あなたは……ほんとうに何もわかっちゃいない……」

直江「そういう言葉のひとつひとつが……勝ちを誇示する刃になることを、あなたは知らないんですね……」

高耶「----うして……」

直江「俺を理解しようとしたことなんて一度もなかったくせに。離れようとすれば、いつも力を見せつけて、押さえつけて、服従させるだけ。何も与える気なんてないくせに。あなたになんか理解させたくない。あなたみたいなわがままな勝者に、理解なんてされたくない」

 

高耶「勝者……なに言って」

直江「ひとの胸をこじあけて、敗北した人間の失意を見るのは、そんなに楽しいですか」

高耶「違う! 勝者とか敗者とかそんなの……!」

直江「さっきのあなたがそうですよ。いつでも自分に従っていないと気がすまない。従うのが当然だと思ってる。私とあなたが最後にいきつくのは、結局そういう関係でしかない」

高耶「なんのことだかわからねぇ!」

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