納め所

 耀変黙示録-天魔の章- 感想その2(6/6訂正)  

読み終わってから2日経って、だいぶ落ち着いてきたのでもう少し感想を書こうと思います。
今回の新刊は、本当に辛くて辛くて…今も思い出すだけで落ち着かなくなり、思考の奥底に沈み込んでいきそうになります。
辛い第一の要因はやはり直江に魔王の種子が埋め込まれてしまったこと。
直江が直江でなくなってしまったというのが、読んでいて非常に堪えます。
常に信長と繋がってしまっていて、直江の行動が直江のものかどうかわからないという状況。直江の一挙手一動作が本当に直江なのか、疑わなければならないというのは私にとって非常に辛いです。
「私の想いは不可侵であり続ける」…直江のこの言葉を信用してないわけではありません。あの直江が信長なんかに負けるわけ無いと思う。けれども現実には直江は常に信長に監視されていて、直江の思ったことも考えていることもすべて信長に筒抜けになってしまうし、その気になれば信長が直江のフリをして直江を動かすことができる。
だからどうしても疑ってしまう…。直江を信用していない自分が非常に嫌になります。こんな時こそ直江を信用してやるのが直江ファンじゃないのかと思うのですが、どうしても私にはそれが出来ない。情けないことですが…。
直江が例の霊枷をして高耶の前に現れるシーンがありますが、これも私は疑ってしまう…(汗)
あの霊枷をしてきたのが本当に直江の真情だと思いたい…。だけど信長ならあれを利用することも考えつくだろうし…。
直江の高耶に対する想いを現す行為すら疑ってかからなければばらない状況が非常に嫌です。

直江を疑わなければならない…という状況以上に直江が信長のものになってしまったというのがすごく辛いです。
実は私は「精神的隷属」ということが、高耶に対しての忠誠心を捨てる…最悪、高耶に対する想いまでも捨てることになる…という事だとは良くわかっていなくて、あらためて文面で書かれてかなりショックを受けました。
直江が高耶以外に忠誠を誓うのは本当に嫌です。
私は、直江が元春や狭間社長に対して好感を抱いた…ってだけで嫌いなんです(汗)
それが今回信長に忠誠だなんて…しかも強要されたものなんて(T_T)
直江はその存在すべてで高耶を愛してるからこそ直江なのに…
でも、愛しているからこそ、その存在すべてを賭けて高耶という存在を救いたいと願った結果が今の状況なんですよね…(汗)
結局は直江が自ら望んで作り出してる状況なので、頭ごなしに理不尽だ!と怒ることができないのが辛いところです。
あとは直江がこの賭けに勝つことを願うばかりです。
でも、今回こうなって高耶が直江を自分のものだとはっきり言ってくれたのは嬉しかったなぁ。しかも嫉妬心から信長を倒すと言ってくれたことも。
実はここのところ高耶さんの信長に対しての態度が不満だったんです。
信長を倒さなければならないのは信長と自分自身の問題で、直江はまったく関係ないというのが…。
しかも信長を倒すのが一番大事なことで、直江との関係はその次…って感じで嫌だったんですね。
だから今回のこの状況は高耶さんと直江と信長の関係が対等になって、さらにやっぱり高耶さんにとっては直江との関係が一番大事。となったのが嬉しいです。

今回、直江の賭けのシーンは本当に泣きました。
高耶という存在のためなら、どんなものでも捨てることができるといっていた直江が、本当に自分自身の魂までも賭けて挑んだ戦い。
最初読んだときは、賭けは直江の想いが信長に勝つかという勝負かと思いましたが、何度か読み返してそれ自体が掛け金であり、勝負は高耶の存在そのものだとわかったとき、血の気が下がりました。
直江と高耶の間に絶対なければならない、直江が高耶に対する想い。
どんなものよりも…たぶん命よりも無くしてはいけないもの。
その絶対的の聖域であり続けなければならない一番大切なものを賭けてしまった直江…。
決して許されないものまで賭けてしまった直江は、本当に自分自身のすべてを賭けたんだな…と、あらためて直江の賭けのすごさを実感します。
本当にこの勝負に直江には勝って欲しい。そして掛け金が高額配当で戻ってくるのを望みます。

-----------6/6訂正----------------
先日ここで直江と高耶が最上のあり方に辿り着けないのは、直江と高耶の愛のベクトルが違うから…という論理を展開しましたが…すみません、私の読み込みの甘さからきた間違いでした(汗)
ということで訂正します。

今まで精神的、肉体的に結びついたのにもかかわらず、直江と高耶が最上のあり方に辿り着けないのは、やはり高耶さんの取り組む姿勢に問題があったような気がします。魂核死という大きな障害を目の前にして、どうにかしようという直江に対して、高耶さんは少しあきらめているような態度だったような気がしてなりません。
今回、直江を失うかもしれないという事態になったことで、高耶さんははじめて自分から立ち向かう姿勢になってくれたのではないでしょうか。
「生きて幸福になるという執念」を持ってくれたことは、二人が最上のあり方に近づくための重要な一歩だと思います。
ただ、高耶さんのほうは一歩進んだのに、今度は直江が後退しているような気もしますが…(汗)
確かに2人が最上のあり方になる為には高耶さんの存在しているということが一番重要なのかもしれませんが、その存在のために自分自身の存在を捨ててしまうというのは本末転倒な気がします。
ただ、直江は回転すると周りの事も見えずに突き進むタイプのようなので、今回の事も、本来の2人の最上を目指すという目的を忘れ、高耶さんを救うという手段が目的になってしまっているのかもしれません(汗)
いずれにせよ、この現状では高耶さんが頑張らないと最上のあり方に辿り着くのが難しいような気もします。頑張れ高耶さん!


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