4巻「琥珀の流星群」

オン デイバヤキシャ マンダマンダ カカカ ソワカ

初出4巻p27。木端神から青面金剛を呼びだすときの真言

【解説】
青面金剛真言。→青面金剛


青面金剛

初出4巻p27。千秋が、見張りのために置いた木端神に呼んであった神仏。
その後もポピュラーに出没。だが最上義康の操る狐蠱によって消滅したり、ブラック成田の超念波に直撃されて霧散したりと、けっこう酷使されている。

【解説】
わが国には、五方の五帝薬叉のうち東方青帝薬叉神を青面金剛と称して伝わった。仏教守護の鬼神類。その明呪には悪獣、病魔、風雷などの難を除く功徳がある。この功徳から、後に道教に結びつき庚申の本尊とされた。
【形像】
1面3眼6臂の忿怒形。左手に三股叉と棒、右手に輪と羂索を持ち、青色の身、口を張って、牙を出す。眼は赤で、火焔色の怒髪は上を向き、髑髏を頂き、また髑髏の首飾り(瓔珞)をする。体中に蛇を纏い両脚下に2鬼を踏む。脇侍に2童子と、4鬼神を従える。また申(さる)の縁から見ざる、言わざる、聞かざるの3猿を従える。

真言
オン デイバヤキシャ マンダマンダ カカカ ソワカ
【訳】
薬叉天に帰命す。縛せ縛せ。ハハハ。あなかしこ。

種字
かん


五大明王尊

初出4巻p32。高耶達が金輪の法の呪咀中和の方法を検討する会話中。

【解説】
不動明王・降三世明王・軍茶利明王・大威徳明王・金剛夜叉明王のこと。
明王とは如来が教令輪神した姿で、衆生を厳しい命令でもって教化する姿である。その中心的存在が不動明王を中心とする五大明王で、それは如来の徳の現れとされる金剛界五仏に対応する。この五大明王は仁王経法(鎮護国家の秘法)で修されるので、ミラージュでは金輪の法の中和呪咀としたのであろう。


ナァマク サンマンダ ボダナン キリク カク ソワカ

初出4巻p67。最上義康が孤蠱を操るときに唱える真言

【解説】
茶吉尼天の真言→茶吉尼天
【訳】
普く諸仏に帰命致します。茶吉尼天に帰命し奉る。スーヴァーハー

オン ダキニ サハハラキャテイ ソワカ

初出4巻p68。最上義康が孤蠱を操るときに唱える真言

【解説】
茶吉尼天の真言→茶吉尼天
【訳】
おお、食人肉神とその眷族よ(または、人肉を食する強い花よ)畏れ申す。


降三世明王

初出4巻p94。金輪の法の中和呪咀として、伊達が高耶達に教えた修法「降三世明王法」の主尊。
4巻p152にて、ブラック成田の力によって仙台上空に巨大化して出現した。

【解説】
梵語のトライローキャビジャヤを意訳。煩悩の根本である三毒(貪=貪欲・瞋=怒り・痴=迷い)を降伏させる明王である意。金剛界では金剛薩@の教令輪神。大日如来が説法をして生きとし生きるものを教化していたときに、大自在天が自らは三世界主(過去・現在・未来、すなわち宇宙の主宰)であると教えに従おうとしなかったので、如来は忿怒身を降三世として現じ、これを降伏させた。この像が脚下に自在天とその妃、烏摩を踏むのはこのためである。
【形像】
3面8臂で全身青色の忿怒像。右手で金剛鈴・剣・矢を、左手に三叉戟・弓・索を持ち、左右第一手は胸の前で交差させ、大力契(降三世印)を結ぶ。脚下に大自在天と烏摩を踏み煩悩退治を象徴する。

真言
オン ソンバ ニソンバ ウンバザラ ウン ハッタ 
【訳】
帰命いたします、ソンバ尊よ、ニソンバ尊よ、フーン、金剛よ、フーンパット。

種字

かーく

うん


降三世印。
二手を忿怒拳にして、小指を金(かね)鈎結し、背中合わせにして人差し指をたてる。
降三世印


大威徳明王

初出4巻p94。金輪の法の中和呪咀として、伊達が高耶達に教えた修法「大威徳明王法」の主尊。
4巻p152にて、ブラック成田の力によって仙台上空に巨大化して出現した。

【解説】
梵語のヤマーンタカの意訳。六足尊とも言う。すぐれた威徳を持つ明王。阿弥陀如来の忿怒形とも、文殊菩薩の化身とも言われる。六趣(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天)を清め、六度(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧)をみたし、六通(神足通・天眼通・天耳通・他心通・宿命通・漏尽通)を成すということから、六面六臂六足を備えるという。また、原名のヤマーンタカのヤマはインドでは死の神で、中国に入って閻魔天となる。経軌では、「仏法に逆らいきわめて教化しがたい、一切の偽り王を制伏し、かつ仏・法・僧の三宝に不利益なものに対し、この不思議法を以て調伏し、この不思議法を以て迷いから離れる。……この明王の真言を誦せばみなことごとく成就す」というように、この明王による調伏法を多く説いてあり、わが国では藤原時代に勝軍法として盛んになった。
【形像】
6頭6臂6足で水牛に乗る姿が特色。全身青黒色で右手に剣・宝棒、左手に鉾・索を持ち中央の2臂は馬口印を結ぶ。

真言
オン シュチリ キャロ ロハ ウン カン ソワカ
【訳】
帰命いたします。シュチリー、カーラ神の姿をした尊者よ、フーン、ケン、スーヴァーハー

種字
きりーくきりーく



槊印。
二手を内縛させ、中指をたてる。これは槊(槍)を表している。
槊印


火輪壇(三角壇)

最上の「金輪の法」を中和するために行なった修法で築かれた護摩壇。

【解説】
三角は火輪の形で摧破の意から降伏法用。青・黒・赤・の色にする。


オン ソンバ ニソンバ ウンバザラ ウン ハッタ

「金輪の法」を中和呪詛するために唱えられた真言

【解説】
降三世明王の真言。→降三世明王
【訳】
帰命いたします、ソンバ尊よ、ニソンバ尊よ、フーン、金剛よ、フーンパット。


オン シュチリ キャロ ロハ ウン カン ソワカ

「金輪の法」を中和呪詛するために唱えられた真言

【解説】
大威徳明王の真言→大威徳明王
【訳】
帰命いたします。シュチリー、カーラ神の姿をした尊者よ、フーン、ケン、スーヴァーハー


ナウマクサンマンダ ボダナンハラチビエイ ソワカ

最上が行なった「金輪の法」の結界点を浄地するために直江が唱えた真言。

【解説】
地天の真言。→地天
【訳】
普く諸仏に帰命いたします。地天に帰命奉る。スーヴァーハー


地天

初出4巻p126。招魂法を中和するための「地鎮法」の主尊。
4巻p144で直江が唱えた真言により呼び起こされ、招魂法を中和した。

【解説】
梵語、プリティヴィーの意訳。インド神話の繁茂・育成の神で大地を司る神が仏教に入り天になった。
十天・十二天の一つ。密教で壇を築くときにはまず、地天の所有する地を使用するので最初に地天に感謝と祈念の作法を努める。

【形像】
身体の色は白肉色で、天衣を着け、右手を胸前で仰げ、左手に花を盛る器を持つ。

真言
ナウマクサンマンダ ボダナンハラチビエイ ソワカ
【訳】
普く諸仏に帰命いたします。地天に帰命奉る。スーヴァーハー

種字



鉢の印。
二手を合わせて食器の様にする。合掌して親指以外の指を相支え、前を開き、親指を各人差し指の側に付ける。


大円鏡智

結界点を浄地するために直江と高耶が唱えた言葉。

【解説】
鏡の如く法界の万象を顕現する智。


平等性智

結界点を浄地するために直江と高耶が唱えた言葉。

【解説】
諸法の平等を具現する智。


妙観察智

結界点を浄地するために直江と高耶が唱えた言葉。

【解説】
諸法を正当に追求する智。


成所作智

結界点を浄地するために直江と高耶が唱えた言葉。

【解説】
自他の作すべきことを成就せしめる智。


蔵王権現

初出4巻p212。青葉城で、高耶達に追い詰められた最上義光が呼び出した神仏。口から真っ赤な火炎を吹き、木端神から出現した青面金剛と戦った。

【解説】
権現とは、もとは仏、菩薩が衆生を救うために仮の姿を表すこと。神仏習合の思想のあった日本では、日本固有の神は仮の姿で本地仏は仏教中の諸尊であるとして、神号に権現号を用いた。蔵王権現は、修験道の祖とされる役行者が済生利益のために祈請し、感見したという悪魔降伏の菩薩で、釈迦仏の教令輪神。

【形像】
1面3眼2臂。青黒い身色で、三髪冠(逆立つ髪が3つに別れる)左手は腰の辺りで剣印、右手は三鈷杵をもって高く振り上げる。左足は磐石を踏みしめ、右足は高く空中を踏む。





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