8巻「覇者の魔鏡・後編」

四天王

初出8巻p37。北条が箱根神社周辺で行なおうとした「火合の法」を「火封じ」するために高耶が呼び出した神仏。箱根神社の森の四方に背丈が山ほどもある姿で出現し、箱根神社周辺を結界した。

【解説】
持国天、増長天、広目天、多聞天(毘沙門天)をあわせて四天王という。四天王はもともとインド神話の護世神だったが仏教に入ると、仏法とそれに帰依する人を守護する護法神となった。
仏教的世界観では、世界の中心にある須弥山に住む帝釈天の配下で、須弥山中腹の四方の門を守る神である。持国天は、東(東勝身州)増長天は、南(南瞻部州)広目天は、西(西牛貨州)多聞天は、北(北倶盧州)をそれぞれ守る。須弥山を仏菩薩の居所とし、それを表した須弥壇の守護のため四方に配される。

【形像】

本来定まった形がなく、様々であるが忿怒形が多い。持物も多聞天が宝搭と戟、広目天が筆と巻物と定まっているが、ほかは原則として刀や戟を持っている程度。
真言
持国天
ナウマクサンマンダ オン チレイタラ シュタラ ララ ハラバダナウ ソワカ
【訳】
帰命、普く諸仏に、オーム、持国天の美しき楽欲よ、スーヴァーハー
増長天
ノウマクサンマンダ オン ビロダギャ ヤキシャ チハタエイ ソワカ
【訳】
帰命、普く諸仏に、オーム、増長天の夜叉王の為に、スーヴァーハー

広目天
ナウマクサンマンダ オン ビロハタシャ ナガヂハチエイ ソワカ
【訳】
帰命、普く諸仏に、オーム、広目竜王の為に、スーヴァーハー

種字

持国天
じり

増長天

広目天
きしゃ



持国天
左右の二手をそれぞれ拳にして、人差し指を立て鈎の如くし、薬指は伸ばす。


増長天
二手を背け合わせ、右の中指を鈎して索の如く、小指、人差指、親指を屈して鈎の如くし、薬指は伸ばす。


広目天
二手を背け合わせ、各々親指で中指の甲を押し、人さし指を交えて索のようにする。


刀印

初出8巻p39。護界法を行なう高耶を結護するときに直江と綾子が結んだ印

【解説】
人差し指と中指をたてた、手で刀を模した印。


四方結

8巻p39。護界法を行なう高耶が唱えた言葉。

【解説】
十八契印(諸種の修法に通じて基本となる18種の契印)のうちの結界法のひとつ。
真言
サラサラバザラハラキャラムハチタ


餓鬼

8巻p41。護界法が終わりかけた頃、直江達を襲った。

【解説】
六道の一の餓鬼道に住むもの。常に餓え渇きの苦しみに悩まされて、食物をえても、これを食べようとすると、焔が発して食べれないという。


山王一実神道

6巻p86。北条の「火合の法」を阻止するための呪法。天海僧上が独自に開発した神道。

【解説】
比叡山延暦寺の地主神である日吉神を崇めるもので、大宮・二宮などを中心に21社として、これを仏・菩薩に配当する。山王七社中の大宮・二宮・聖真子を夫々釈迦・薬師・弥陀の垂迹とし、伊勢太神宮を大日の垂迹、大日と釈迦は同体異名であるから、日本の八百万の神々は皆その分身とする。江戸初期天海は一実神道秘訣を著し、各種の血脈を上げて宣伝し、東照宮建設の思想的基盤とした。


太元帥法

6巻p86。北条の「火合の法」を阻止するための呪法。天海僧上の山王一実神道の元になったといわれる呪法。

【解説】
太元帥明王を本尊とし、主として鎮護国家のために修される秘法。いまでも天皇即位の翌年、京都東寺の潅頂院で修する。


太元帥明王

8巻p93。「火合の法」の対抗呪法「太元帥法」の主尊。天海僧正が行なった太元帥法を復活させるには家康の髑髏が必要らしい。

【解説】
梵語でアタバク、林野の意味から広野鬼神大将とも。徳が広大で、すべての明王の総帥というところから太元帥と意訳。もとインド非アリアンの神が仏教化し明王とされた。諸明王の総帥とされ、大日如来、釈迦、観音などあらゆる仏と、菩薩の集合体とされる。国土を守護し、外敵を退散させ、以て衆生を擁護する存在とされ、国家鎮護の太元師法として修される。
【形像】
像様は多々あるが、4面8臂、4面4臂、6面6臂が多い。この明王を日本に伝えた常暁のものは、小栗栖本様と称され、6面8臂。最上面のみが仏相で5面は忿怒相。左手は輪・槊・合掌・棒、左手は三鈷杵・剣・合掌・索、左足は鬼の胸、右足は別の鬼の頭を踏む。火焔を背負い、天女と獅子が侍す。

真言
タリツ タボリツ パラボリツシャヤンメイ シャヤンメイ タララサンタン ラエンビソワカ
【訳】
※参考にした本によると解読不能とのこと。





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