10巻「わだつみの楊貴妃・前編」

鳳凰

初出10巻p119。広島で女子高生を襲った。楊貴妃観音のお使い。

【解説】
中国後漢代から装飾文様として用いられる極楽鳥(南洋産)に類似する空想上の鳥。日本には仏教と共に伝来し、瑞祥文様として用いられ、絵画・彫刻織文などに多くの遺例があり、宇治平等院の鳳凰堂は、屋上にあるこの彫刻で名を得、神輿の頂装・旗竿の頭飾に用いられた。



11巻「わだつみの楊貴妃・中編」

二十五菩薩

11巻p56。下間頼竜が岩国の石人形に呼び寄せた仏。高耶の前に無表情で立ちはだかった。

【解説】
阿弥陀が浄土より迎えに来る時に、つき従うという25体の菩薩。
観世音菩薩、大勢至菩薩、薬王菩薩、薬上菩薩、普賢菩薩、法自在菩薩、獅子吼菩薩、陀羅尼菩薩、虚空蔵菩薩、徳蔵菩薩、宝蔵菩薩、金蔵菩薩、金剛蔵菩薩、光明王菩薩、山海慧菩薩、華厳王菩薩、衆宝王菩薩、月光王菩薩、日照王菩薩、三昧王菩薩、定自在菩薩、大自在王菩薩、白象菩薩、大威徳菩薩、無辺見菩薩


迷企羅大将

11巻p159。付喪神「大和」の燃料にされて力尽きた人々の命をつないだ。

【解説】
薬師如来の眷属、または分身といわれる十二神将の一つ。
十二神将とは、薬師如来が〈十二願〉をおこした時に、ひとつの誓願ごとに姿を現したという。各々7千の夜叉を率いて薬師の各号を受持する衆生を守る武将。
【形像】
あまり資料がなく、詳しくは解からなかったが、おそらく甲冑姿の忿怒形、身体の色は黄色で、宝棒を持つ姿だとおもわれる。


薬師如来

初出11巻p159。迷企羅大将はこの如来の眷属。

【解説】
梵語のバイシャジャグルの意訳で、薬師瑠璃光如来や、大医王仏とも呼ばれる。その名の通り、人々の病苦を癒し、内面の苦悩を除いてくれる東方瑠璃光浄土の教主。薬師如来がまだ菩薩の頃、如来になるにあたって立てた十二の誓願のなかに、もし人々が病気になって医師や薬がなくても、薬師如来の名を知ることが出来れば、その病気はたちまち治る、などがある。
【形像】
左手に薬壷を持ち、右手に施無印か与願印を結ぶ、釈迦と同様の像。
真言
ナウマク サンマンダボダナンオン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ
【訳】
暴悪の相を以て、速疾に諸の業障を降伏せしむる象王たる薬師如来に帰命す。
種字
ばい



12巻「わだつみの楊貴妃・後編」

オン アロリキャ ソワカ

初出12巻p48。友姫が浄化の弓矢を生み出すときに唱える真言。

【訳】
オーム蓮華尊(すなわち観音)よ吉祥なれ
【解説】
観世音真言


オン・マニ・パメー・フン

初出12巻p48。友姫が浄化の弓矢を生み出すときに唱える真言。

【訳】
宝珠蓮華尊に帰命し奉る。離垢ならしめ給え。
【解説】
六字陀羅尼。六字の明呪として、死後の浄土を願う意で、ラマ教徒が日本の南無阿弥陀仏と同じく盛んに唱える。


風天

12巻p52。綾子が持っている「風天の石笛」の力の源。梵字が描き込まれた霊石でできた石笛は、真言を唱えながら吹くと梵字が燐粉の様に飛び散り突風が吹き出す。

【解説】
梵語ヴァーユの意訳。インド教の風神が仏教の守護神となったもので、八方天、十二天の西北方を守る。風の空行くことの迅速を仏の神通自在の教化の表現としたもの。
【形像】
老人の姿で、髪は白く身体は赤色。甲冑を着け、天衣・腰帯などは風に吹かれている様である。右手に幢幡の翻る槍を持つ。左手は腰にあて、遠くを見る姿。わきたつ雲の中にノロに乗る。
真言
ノウマクサンマンダ ボダナンバヤベイ ソワカ
【訳】
帰命、普く諸仏に。風天のために、スーヴァーハー。
種字


左手を拳にし、小指、薬指を立て、臂を上げて宝幡のようにする。


トヤト・ウコニヤ・モコニヤ・チョボニヤ・タンボニ・アンジャリ・ホンジャリヤ・・・・
キビシス・ナントリ・ボギャリ・オルニ・・・

12巻p56、p224。友姫が「潮涸瓊」の力を発揮させるときに唱えた陀羅尼。

【訳】
全文、訳はこちら
【解説】
観音懺法。天台山国清寺の慈雲遵式が、山内の治病のために撰した「請観世音菩薩消伏毒害陀羅尼三昧儀」のことである。この経の構想は、観音霊験記であって、災難調伏である。消伏毒陀羅尼・破悪業消消伏毒陀羅尼咒・六字章句陀羅尼からなる。


弥勒菩薩

12巻p79。成田譲の正体。六道界の驚異らしい。

【解説】
梵語のマイトレーヤの意訳。慈氏と訳される。慈氏とは慈悲の意味。多くの菩薩が観念上の存在であるのに対し、弥勒菩薩は実在に釈迦の弟子として修業していた人物だった。現在は須弥山上空の兜率天で菩薩として、衆生を教化しているが、釈迦の入滅後56億7千万年の後に再び現世に下生し、龍華樹の下で成道して如来となって衆生を救済することを釈迦から約束されている。このことから未来仏とも呼ばれている。
【形像】
最も多いのが台座に腰を掛けて片足を組み、頬に指先を付けている姿。(半蹴思惟像)これは将来いかにして衆生を救うか思案している姿という。胎蔵界では、蓮華座に座り、左手は施無印、右手に水瓶が乗った蓮華を持ち、冠(仏搭)をいただく。

真言
オン マイタレーヤ ソワカ
【訳】
弥勒に帰命致します、スーヴァーハー





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