13巻「黄泉への風穴・前編」

閻魔大王

13巻p91。呪殺された後藤市議会議員の夢にでてきて、地獄を案内した。

【解説】
地獄の主神として、冥界の総司。もとインドの宗教から入ってきたもので、また餓鬼界の主、地蔵菩薩の化身などと種々の説がある。裁判官である十王の一つとしての中国の風俗が一般に知られている。密教では閻魔天といい形容は異なる。


閻魔天

里見が行なおうとした「通黄泉の法」の主尊。

【解説】
閻魔は縛、双生、双王、平等殺、遮止などと訳し、死王、黄泉国善賀羅王、科罪忿怒王の異名もある。インドの古代神話では人間の始祖の子供で、人類最初の死者となって冥界へ至る道を発見し、死後世界の首長として、天上界に在るようになった。「マヌ法典」においては、下界奈落の主となり、死者の生前の行為に従って賞罰を司る神とある。仏教に取り入られた後は、これらの思想を引き継ぎ、夜魔天として六欲天注の第三に位置づけられ、一方では閻魔王として冥界の支配者、人の行為の裁判官とされた。
【形像】
左手に人頭幢をもち、右掌を仰いで白牛に乗る。

真言
南方閻魔天
ナウマク サンマンダ ボダナン ヤマヤ ソワカ
【訳】
あまねく諸仏に帰命いたします。とくに閻魔天に帰命したてまつる。スーヴァーハー。
種字



十王

13巻p237。須賀奈津緒の父親を呪殺するために里見が行なった「夜魔十王の法」の主尊

【解説】
秦広王・初江王・宗帝王・五官王・閻魔王・変成王・泰山王・平等王・都市王・五道天輪王

冥途で亡者の罪を判断する司法官の十王。名称も衣服も中国風である。道教と混じて唐末五代の頃の成立とみられる。十王経など偽経を作る。


弁財天

初出13巻p107。江ノ島の奉安殿に祀られている神仏。呪殺されそうになった須賀奈津緒の父を助けるために二階堂麗子が奉安殿で祈願した神仏。
里見が「通黄泉の法」の為に活用しようとしたが、依代となった二階堂麗子の口から火を噴いて岩屋を破壊した。

【解説】
サラスヴァティーは河の女神を神格化したもので辯舌・学芸・知識の女神で音楽・戦勝、やがては福地増益から延寿・財宝の神とされ、ついにわが国では七福神に加えられた。広く信仰されて、琵琶湖の竹生島、宮島の厳島神社、江ノ島神社など、水域に関係する場所に立ち、明治維新後神社に改められたものが多い。
【形像】
八臂像と二臂像がある。八臂像は、左手に弓・刀・斧・羂索、右手に箭・三股戟・独鈷杵・輪をもつ。武器の数々を執るところは戦神を示している。二臂像は左手に琵琶、右手で奏する姿。

真言
オン・ソラサバタエイ・ソワカ
【訳】
サラスヴァティー神女に帰命す。めでたし。


不動明王

弘法大師が「夜魔道」をふさぐときに使ったとされる、独鈷杵に彫ってある真言の主尊。
『十字架を抱いて眠れ』では、邪眼となった高耶の左目の毒素を抑えるために、巻いてある包帯の中に入れてある呪符の本尊。

【解説】
五大明王・八大明王の主尊。如来の命を受けて忿怒の相を示す。行者に給仕して諸事を弁じ菩提心を起こさせ、悪を断じて善を修し、大智恵を得て成仏させる功能があるという。火生三昧に入って一切の罪障を破催し、動揺しないから不動という。【形像】
磐石座に坐して童子形。頂に七髻あって辮髪を左肩に垂れ、左目は細く閉じ、下の歯で上唇を噛む忿怒形。猛火を負て右手に利剣、左手に羂索をもって煩悩を断じる姿を普通とする。その外、四臂・四面四臂など種々の像がある。

真言
ナウマク・サンマンダ・バサラダン・カン
【訳】
あまねき金剛尊に礼したてまつる。ハーン。
種字
かんまん

剣印を鞘の印に加えよ。剣印は左手、頭指、中指を申べ、大指をもって小指、無名指の甲を押して刀の鞘とし、右手もこのようにして刀となし、左手の鞘を仰げ、右手の刀を覆せて之を納める。



14巻「黄泉への風穴・後編」

ギシャ ギシャ

初出14巻p226。高耶が弁才天を天に帰すときに唱えた真言。

【訳】環御あれ、環御あれ。
【解説】
発遣の真言。召喚した神仏を天に帰す時に唱える。

金剛外縛にして二つ中指を立てて蓮葉の様にし、花をはさんで空に投げる。





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